抄録
症例は83歳,男性.C型肝硬変に対して近医に通院中であり,3年前から中等度大動脈弁狭窄症(AS)を指摘されていた.労作時の息切れが出現し,精査の結果,重症ASおよび冠動脈狭窄症を認めた.Child pugh分類Grade Bの肝硬変合併症例であることから経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)の適応とし,冠動脈狭窄症に対してオフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)を同時に行う方針とした.冠動脈バイパス中に口腔内より大量の出血を認めた.術前の上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤を認めており,食道静脈瘤からの出血を考えた.循環動態は安定していたため手術を続行させ,手術終了後に手術室で緊急内視鏡検査を行った.食道静脈瘤から出血を認め,内視鏡的結紮術を施行した.今回,OPCABとTAVI併施手術中に食道静脈瘤から大量出血をきたした1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.