抄録
症例は77歳の男性で,排便困難と排便時出血を主訴に近医を受診した.下部消化管内視鏡検査にて直腸(RSa)に全周性病変,上部消化管内視鏡検査で中部食道に1型病変を認め,直腸・食道重複癌の診断で当院紹介受診した.直腸癌はcT3,cN0,cM0,Stage II,食道癌はcT2,cN0,cM0,Stage IIの診断で,胸部CT検査で左鎖骨下動脈起始部異常を伴う右側大動脈弓を認めた.キャンサーボードで検討した結果,進行直腸癌に対し根治手術,続いて食道癌に対し根治的化学放射線療法(CRT)を施行する方針とした.直腸癌はpT3,pN1,pStage IIIaであり,続くCRTでは化学療法をmFOLFOX6療法として施行.現在,直腸癌は1年4カ月無再発,食道癌はCRT後CRを維持している.進行直腸癌に進行食道癌を重複し,さらには稀な解剖学的異常を有する高齢男性に,集学的加療が奏効した1例を報告する.