日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃全摘後1年9カ月で孤立性脳転移をきたしたStage IB胃癌の1例
青山 龍平山本 秀和山田 理大山本 道宏原田 英樹財間 正純
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キーワード: 胃癌, 脳転移, 単独
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2018 年 79 巻 8 号 p. 1678-1682

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抄録
症例は69歳,男性.検診で異常を指摘され上部消化管内視鏡検査施行したところ,噴門部にtype2胃癌と胃角部に0-IIc胃癌を指摘され,当科で腹腔鏡下胃全摘術,D-2郭清を施行した.病理結果は噴門病変の深達度がT2,胃角病変はT1a,リンパ節転移なくStage IBであった.術後1年9カ月で急激に呂律困難と歩行障害が出現した.精査の結果,左小脳腫瘍を指摘され,腫瘍摘出術および全脳照射を施行した.脳腫瘍の病理診断はadenocarcinomaであり胃癌脳転移と診断したが,全身検索を行うも,脳以外に再発所見を認めなかった.その後,脳局所再発を認め,脳腫瘍出現より12カ月で死亡したが,最後まで脳以外の転移巣を認めなかった.胃癌の脳転移率は0.5%程度と稀であるが,他臓器に転移を認めない単独脳転移はさらに稀と考えられる.今回われわれは胃癌術後の単独脳転移症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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