抄録
症例は65歳の男性.腹痛を主訴に上部消化管内視鏡検査を受けたところ,胃体下部大彎後壁に3型腫瘍を認め,生検結果は中分化管状腺癌であった.腹部造影CTでは肝S7に8mm,15mm,16mm,S8に14mmの転移巣を認めた.また,腹部大動脈周囲リンパ節腫大を認めた.胃癌cT2(SS),cN1,cH1,cP0,cM1(LYM),cStage IV(胃癌取扱い規約第13版,以下同じ)と診断し,化学療法S-1+cisplatinを5コース施行した.肝転移は消失したため,幽門側胃切除D3郭清を施行し,pT1(SM),pN0,sH0,sM0,fStage IA,組織学的効果判定Grade 1aであった.術後tegafur/uracilを10カ月間内服し,125カ月無再発生存中である.胃癌同時性多発肝転移は予後不良だが,集学的治療で良好な成績が得られた.