抄録
症例は90歳,男性.摂食や排便に異常なく生活していた.貧血の精査目的に下部消化管内視鏡検査を予定した.経口腸管洗浄剤を内服した後,多量の嘔吐を認めた.単純CT検査では腸管内に大量の液体貯留を認め,腸閉塞の所見であった.また,誤嚥性肺炎を併発し,気管内挿管による呼吸管理が必用であった.イレウス管による減圧治療を開始したが腸閉塞の改善は認めず.造影CT検査を施行したところ,血流障害を伴う腸重積が疑われ,緊急手術を施行した.回腸末端より30cmの部位で20cm程度回腸が重積していた.先進した口側腸管の壊死および肛門側腸管の菲薄化を認め,小腸部分切除を施行した.切除標本では,先進する腫瘍や憩室は認めなかった.先進した口側回腸の粘膜は壊死し,また内圧の掛かった肛門側回腸は数カ所で菲薄化していた.術後は順調に回復した.経口腸管洗浄剤内服を契機に発症した腸重積の報告はなく,文献的考察を加え報告する.