抄録
症例は80歳,男性.認知症による食思不振のため胃瘻造設目的で当科紹介となったが,胃切除後の影響で胃瘻造設が困難であったため腸瘻造設術を施行した.術後経過は問題なく,2日目より経腸栄養を開始した.しかし,術後3日目に腹痛が出現したため腹部CT検査を施行すると,小腸壁内気腫および門脈ガス像を認めた.バイタルサインは安定していたが,腹膜炎の所見があり,また腸瘻チューブより暗赤色の排液を認めたため腸管壊死を否定できず,同日緊急手術を施行した.術中腸管拡張はあるものの,絞扼や腸管壊死を疑う所見はなく,腸管気腫症と診断し腸瘻チューブからの減圧のみを行い手術を終了した.術後12日目に腸管気腫・門脈ガスが消失していることを確認後,経腸栄養を再開するも,再燃なく経過している.腸瘻造設後の経腸栄養開始によって発症する腸管気腫症・門脈ガス血症は稀であり,文献的考察を含めて報告する.