日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸管切除を必要とした小腸多発仮性憩室を伴う腸閉塞の1例
岡本 成亮石山 泰寛中原 健太日高 英二石田 文生工藤 進英
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キーワード: 小腸仮性憩室, 腸閉塞
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2018 年 79 巻 9 号 p. 1870-1873

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抄録

症例は74歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部CT検査でwhirl signと限局的な小腸の拡張を認めたため絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.炎症性に肥厚した腸間膜を軸に360度捻転しており,Treitz靱帯より20cmから150cmの空腸に多発する仮性憩室を認めた.捻転解除を行い腸管は切除しない方針とした.術後早期に腸閉塞の再発を認めた.イレウス管造影で小腸に狭窄を認め,狭窄部位から肛門側への造影剤の流出が不良であった.狭窄が高度であると考えられたため再度手術の方針とした.手術所見は憩室開口部近傍に狭窄を認め,狭窄部より肛門側の腸管には憩室を認めなかった.Treitz靱帯より20cmから狭窄部までの空腸を切除した.術中の小腸内視鏡所見は粘膜憩室開口部に潰瘍形成を認め,病理所見では憩室炎が疑われた.憩室が器質的狭窄を引き起こし,腸閉塞の原因になりうると考えられた.

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© 2018 日本臨床外科学会
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