日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
9年間の経過観察後に腹腔鏡下切除した虫垂神経鞘腫の1例
與那嶺 直人三浦 孝之盛 彬子福原 賢治
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 9 号 p. 1880-1884

詳細
抄録

症例は82歳,女性.直腸癌Stage Iに対して腹腔鏡下直腸切除術を施行し,外来で経過観察中にCTで虫垂体部に造影効果のある領域が出現した.経過観察としていたが,造影領域の拡大や周囲のリンパ節腫大は認めなかった.初回の指摘から9年目のCTで11mmの造影効果を有する腫瘤として描出されたため,高分化型神経内分泌腫瘍もしくはGISTの診断にて腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織学的には紡錘形細胞の増殖および核の柵状配列様偏在所見を認め,免疫染色ではS-100が陽性,c-kit・CD34・SMAはいずれも陰性であった.また,核異型は軽微でKi-67標識率2.05%であることから良性の神経鞘腫と診断した.虫垂原発の神経鞘腫は非常に稀で正確な術前診断は困難で,拡大切除が行われることもある.今回,9年間の経過観察後に腹腔鏡手術を施行した虫垂神経鞘腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top