抄録
症例は60歳,女性.持続する心窩部痛と左背部痛を主訴に受診.腹部超音波検査および造影computed tomography(CT)検査を施行したところ,脾下極に径60mm程度の嚢胞性病変を認めた.病歴も考慮し,外傷後仮性脾嚢胞と診断した.以前のCTと比較して脾嚢胞が増大傾向であることと有症状であることより加療が必要と判断し,まず経皮的ドレナージを施行した.実施後は速やかな症状の改善と脾嚢胞の縮小を得られたが,ドレーン抜去後に症状の再燃と脾嚢胞の再増大を認めたため,根治目的に腹腔鏡下天蓋切除術を施行した.病理検査では脾仮性嚢胞と診断された.その後の経過は良好で術後9日目に退院となり,以後は再発なく経過している.脾仮性嚢胞に対し,より低侵襲と考え施行した経皮的ドレナージは再燃をきたしたが,腹腔鏡下天蓋切除術は根治治療となりえた.本術式は低侵襲かつ脾温存が可能であり,脾嚢胞に対する有効な治療法になりうると考えられた.