抄録
59歳,男性.食思不振,黒色便を自覚し精査加療目的に当科を紹介受診.上部消化管内視鏡検査にて,噴門部小弯側に食道浸潤を伴う易出血性の3型腫瘍を認めた.造影CT検査でbulkyなリンパ節腫大も認め,S-1(80mg/m2)+DTX(60mg/m2)を2コース施行後,胃全摘術(D2),脾摘術を施行.治療効果Grade0であったが補助化学療法は施行せず.術後1年5カ月経過後,転倒後の左肩関節痛を自覚した.骨シンチグラムにて多発骨転移を認め,S-1(80mg/m2)+DTX(60mg/m2),放射線照射を開始した.計11コース施行し,その後7年間は経過観察のみとなったが骨転移巣は完全に消失し,術後11年でfollow終了となった.胃癌骨転移の頻度は少なく,一般にその予後も不良である.今回われわれは術後1年5カ月で骨転移をきたし,その後治癒した症例を経験したため報告する.