日本臨床外科学会雑誌
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症例
限局性の乳糜腹水を伴った傍十二指腸ヘルニア嵌頓の1例
細田 清孝中田 伸司草間 啓町田 泰一西尾 秋人袖山 治嗣
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2019 年 80 巻 1 号 p. 79-83

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抄録
絞扼性イレウスにおいて,軸捻転等によるリンパ管の閉塞により乳糜腹水をきたしうることが報告されている.今回,発症機転が内ヘルニアで腸管を温存しえた症例を経験した.症例は30歳の女性で,腹痛にて当院に救急搬送された.CTで右傍十二指腸ヘルニア嵌頓が疑われたため,緊急手術を行った.腸間膜体壁窩への小腸の嵌入を解除したところ,乳糜腹水が流出した.腸管の色調不良が認められたが,腸蠕動は消失しておらず,腸管温存の方針とした.術後経過は良好で再発は認めていない.
絞扼性イレウスにおいて,乳糜腹水が認められた症例はいずれも腸管は温存可能であったが,時間経過で不可逆性の腸管虚血になる可能性も示唆されている.乳糜腹水を伴った絞扼性イレウスでは,腸管温存が可能な場合が多いことに留意しつつ,必要十分な術式を考慮すべきと考えられた.
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© 2019 日本臨床外科学会
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