抄録
症例は59歳,男性.直腸癌(Rb,cT2N0M0,Stage I)の診断で腹腔鏡下内肛門括約筋切除術(経肛門的全直腸間膜切除術併用),予防的双孔式回腸人工肛門造設術を施行し,経過良好で術後9日目に退院した.術後17日目に人工肛門の出口部狭窄による腸閉塞の診断で再入院した.排液のClostridium difficile(CD)トキシン陽性であり,CD腸炎と診断し保存加療を開始した.入院4日目に急激に全身状態が不良となり,敗血症性ショックと診断しICUに入室した.CT検査で回腸の著明な壁肥厚と浮腫を認め,劇症型CD腸炎と診断し緊急で小腸部分切除術を施行した.術後,バンコマイシンの注腸投与と集学的治療により病状改善し,再手術後22日目に自宅退院した.劇症型CD腸炎が小腸に発症した例は稀であり,今回,集学的治療により救命しえた1例を経験したので報告する.