2019 年 80 巻 10 号 p. 1888-1891
症例は72歳,女性.右下腹部痛を主訴に来院した.超音波検査で盲腸周囲の液体貯留を認め,造影CT検査の所見より盲腸の右側尾側に少量の腹水の貯留と,極わずかな後腹膜の肥厚を認めた.CA125などの腫瘍マーカーの上昇は認めなかったが,原因精査目的に審査腹腔鏡を施行.盲腸近傍の腹膜に白色結節があり,生検を実施.病理組織学的検査でadenocarcinomaの診断であった.上部消化管内視鏡,下部消化管内視鏡を施行するも明らかな原発巣の同定はできず,卵巣の腫大・腫瘍などを指摘できないことから,腹膜原発漿液性腺癌の診断で,1カ月後に腹膜の腫瘍を可及的切除,腫瘍腹膜の浸潤のため結腸右半切除,両側付属器切除を施行した.審査腹腔鏡にて診断し,手術にて治療しえた腹膜原発漿液腺癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.