2019 年 80 巻 11 号 p. 1978-1982
症例は85歳,男性.自動車運転中に誤って路上のポールに衝突した.前医に救急搬送され,造影CTで膵頭部周囲の大量血腫と中結腸動脈の断裂,仮性動脈瘤を認め,当院へ転院搬送した.血管造影検査を行い背側膵動脈末梢から出血を認め,動脈塞栓術を施行した.中結腸動脈は根部で断裂し,塞栓術困難と判断し緊急手術を施行した.術中所見で血性腹水は少量であったが,膵頭部周囲から横行結腸間膜に広範囲の血腫を認めた.横行結腸間膜は一部損傷を認め,中結腸動脈根部で断裂,仮性動脈瘤を認めた.活動性出血はなかったが,再出血予防目的に動脈根部を結紮処理した.術後は再出血なく経過良好であり,術後21日目にリハビリテーション目的に転院した.腸間膜損傷による仮性動脈瘤は,破裂により急性な転帰をたどることや遅発性に発症する報告例もあり,腸間膜内に血腫を認めた際は仮性動脈瘤形成の可能性を念頭に置き診療にあたる必要がある.