2019 年 80 巻 11 号 p. 2061-2066
症例は54歳の男性,2型糖尿病の既往があった.前日から続く腹痛と発熱のため来院,黄疸と腹部圧痛を認めた.血液検査では強溶血,炎症所見,多臓器不全を呈し,CTにてfree airと肝S5にガスを伴う腫瘤を認め,ガス産生性肝膿瘍破裂による急性汎発性腹膜炎が疑われた.急激な呼吸状態増悪を認める中,緊急手術を施行,悪臭を伴う腹水および穿破した肝膿瘍を認め,洗浄ドレナージを施行した.術後は敗血症・多臓器不全に対し,集中治療を開始した.術後3日目に腹水培養よりClostridium perfringens(以下:C. perfringens)が検出され,clindamycinの投与を開始したが,術後4日目に死亡した.C. perfringensによる肝膿瘍は極めて稀であるが,急激な経過で死に至る.溶血を伴う敗血症,ガス産生性肝膿瘍の際には,C. perfringensを念頭に治療することが重要である.