日本臨床外科学会雑誌
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症例
30歳正常肝に発生した肝細胞癌(最大径12cm)の1例
阿部 有佳野尻 和典茂垣 雅俊舛井 秀宣津浦 幸夫長堀 薫
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キーワード: 肝細胞癌, 若年, 正常肝
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2019 年 80 巻 11 号 p. 2067-2072

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抄録

症例は30歳,男性.健康診断の腹部超音波検査で肝右葉に腫瘤を指摘され,精査目的に当院紹介となった.肝機能異常は認めず,血中HB ,HCウィルスマーカーは陰性だった.常用薬は無く,肝疾患を有する家族歴も認めなかった.腫瘍マーカーは陰性だった.CTでは肝後区域に10×11×12cmの腫瘤を認めた.MRIではT2強調で不均一な高信号,T1強調で低信号を呈し,脂肪成分の含有を認めず,充実部分は拡散低下を呈していた.肝原発の悪性腫瘍が疑われ,診断治療目的に手術の方針とした.手術は肝右葉切除術を行った.病理組織学的検査では低分化型の肝細胞癌の診断であり,非癌部は正常肝だった.術後10カ月を経過した現在も再発なく外来フォロー中である.背景にHCCリスクを持たない若年肝細胞癌の症例は非常に稀である.その病因や予後に関しては解明されていないのが現状であり,文献的考察を加えて報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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