日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断し腹腔鏡下に修復した鼠径ヘルニア偽還納の1例
山本 寛之, 川村 武史, 松村 祥幸, 橋田 秀明, 平口 悦郎, 平野 聡
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2019 年 80 巻 11 号 p. 2112-2117

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抄録

症例は77歳,男性.10年前より右鼠径ヘルニアを認め,自己整復を繰り返していた.受診日当日の朝に自己整復したが,昼より腹部膨満と腹痛,嘔吐を認め近医を受診.腹部単純X線で小腸の拡張とニボー像を認め,腸閉塞の診断で当院紹介となった.腹部CTにて右下腹部に壁側腹膜から連続する嚢状構造と,内部に腹水と浮腫状の小腸を認め,鼠径ヘルニア偽還納による腸閉塞と診断.同日緊急で腹腔鏡下手術を施行した.術中所見では小腸がヘルニア嚢に嵌頓した状態で腹膜前腔に陥入しており,鉗子による牽引のみで容易に還納された.小腸に明らかな壊死は認めず,メッシュを用いて腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.鼠径ヘルニア偽還納は脱出臓器がヘルニア嚢に嵌頓した状態のまま腹膜前腔に還納されるという比較的稀な病態であるが,十分な問診と画像診断で術前診断可能であり,低侵襲に確実な診断と治療ができる腹腔鏡下手術は有用であると考えられた.

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