2019 年 80 巻 11 号 p. 2106-2111
症例は89歳,女性.直腸脱による排便困難に対して腹腔鏡下直腸固定術を施行した.手術は臍下部12mm,左右上下腹部に5mmの計5ポートでWells法を施行した.術後第3病日に嘔吐を認め,麻痺性イレウスと診断し絶飲食にて経過観察とした.翌日に左側腹部痛が出現し腹部CTにて左上腹部5mmポートサイトヘルニアによる小腸嵌頓を認め緊急手術を行った.左上腹部5mmポート孔から腹腔外へ脱出し,腹直筋と腹直筋前鞘間に黒色変化した壊死腸管を認め,小腸部分切除を施行した.ポートサイトヘルニアの頻度は文献的に約1%と報告されており,なかでも5mmポートサイトヘルニアは稀な合併症である.診断が遅れれば腸管壊死をきたす可能性があり,術後合併症として十分念頭に置いておく必要がある.今回,術後早期に5mmポートサイトヘルニアをきたした症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.