2019 年 80 巻 12 号 p. 2153-2156
今回われわれは,結核性リンパ節炎を併発したことでリンパ節転移評価に難渋した乳癌の2例を経験したので,文献的考察を踏まえ報告する.症例1は63歳の女性で,左鎖骨上の腫瘤を主訴に当院を受診し,胸腹部CTにて左鎖骨上窩リンパ節腫大と左乳腺腫瘍が認められたので,左乳腺腫瘍と左鎖骨上窩リンパ節に対してそれぞれ針生検を行い,浸潤性乳管癌と結核性リンパ節炎が疑われた.乳癌の術前診断は,cT1N0M0,cStage Iと診断し,抗結核薬内服治療を進めつつ左乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検を施行した.症例2は77歳の女性で,他院にて右鎖骨上窩リンパ節腫大を認めたため,左乳癌cT4N3M1(LYM),cStage IVと診断され,内分泌療法を開始し,その後の継続加療目的に当院へ紹介となった.次第に内分泌療法抵抗性が認められ,また他臓器に転移を疑わす所見もなかったため,左乳房全摘術+右鎖骨上リンパ節摘出術を施行した.リンパ節に転移は認められず,結核性リンパ節炎の所見を認めた.