2019 年 80 巻 12 号 p. 2201-2206
症例は70歳,女性.発熱・腹痛・食欲不振で近医を受診し,腹部CTで腹腔内の巨大嚢胞性腫瘍を指摘された.また,血液検査で炎症反応が高値であり,精査加療目的に当科へ紹介された.腹部CTで右側の結腸間膜内に最大径25cmの多房性嚢胞性腫瘍を認めた.内部には充実性成分を認めず,腸間膜嚢胞と診断した.抗菌薬投与を行い炎症反応は低下したが,腹痛が持続したため手術を行った.開腹すると術前に認めていた嚢胞は認めず,結腸間膜内に6cm大,暗赤色で弾性硬の腫瘤性病変を認めた.悪性腫瘍の可能性が否定できず,隣接する横行結腸を含め腫瘤を切除した.病理組織学的には,炎症性細胞の著明な浸潤が認められたが,明らかな腫瘍性病変はなく,炎症性偽腫瘍と診断された.外来で経過観察中であるが,再発の所見は認めていない.腸間膜嚢胞の破裂後に炎症性偽腫瘍を形成した報告は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.