日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に解除・修復した上行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
中川 朋林 覚史波多 豪道浦 俊哉山邉 和生
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2019 年 80 巻 12 号 p. 2238-2242

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抄録

症例は88歳の女性で,2日来の腹痛と嘔気を主訴に外来を受診した.CTで右下腹部に浮腫状に肥厚した小腸を認めた.拡張小腸と肥厚腸管の移行部にくびれを認め,絞扼性イレウスを疑い,腹腔鏡下に緊急手術を行った.腹腔内を観察するに,上行結腸間膜の欠損孔から背側に嵌入する小腸を認め,上行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した.牽引では嵌入小腸を還納できなかったため,裂孔を切開して欠損孔を開大し,Bauhen弁から70cmから100cmの回腸を腹腔内に還納した.嵌入小腸に虚血性変化は認めず,切除は行わなかった.非常に稀な上行結腸間膜裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下に診断し,嵌頓解除と裂孔閉鎖を行った1例を経験したので報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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