2019 年 80 巻 12 号 p. 2257-2263
症例は69歳の女性で,7年前にCT検査で肝右葉に25×18×12cmの巨大肝嚢胞の診断を受けた.無症状のため経過観察していたが,転倒後に出現した左肩痛と腹痛を主訴に,転倒から2日後に当院を受診した.CT検査で肝嚢胞破裂と診断したが,腹膜刺激症状は認めなかった.本人の希望もあり外来経過観察としたが,転倒から5日後に腹痛が増悪して再受診した.CT検査では腹水の増加を認めた.嚢胞内容の血球成分により腹膜刺激症状をきたしていると考えたが,持続性の出血の可能性もあり,手術の適応とした.腹腔鏡での観察を行い,肝嚢胞破裂と診断し,活動性の出血や胆汁の漏出が見られないことを確認し,腹腔鏡下天蓋切除と洗浄ドレナージを行った.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.術後2年目に肝嚢胞遺残再発と嚢胞感染を疑い,経皮ドレナージ行った.腹腔鏡下手術後に残存嚢胞がみられたが,破裂肝嚢胞に対する一期的治療として低侵襲な腹腔鏡下手術は治療の一つと考えられた.