2019 年 80 巻 2 号 p. 310-314
症例は10歳,女児.間欠的上腹部痛で近医を受診した際の画像検査で左腎臓頭側に腫瘤性病変が認められ,後腹膜腫瘤の疑いにて当院に入院となった.病変は左腎臓,脾臓と境界が明瞭な長径62mmの嚢胞性病変であった.内腔に充実性成分は存在せず,副腎由来の腫瘍マーカーは正常であった.腹痛の軽快ともに病変の縮小を認めたが悪性腫瘍を否定することができないと判断して,外科的切除術を施行した.病変は胃底部背側から発生していたため上腹部開腹創からの観察のみでは確認することができず,胃底部を引き出す操作が必要であった.病変は胃壁筋層との交通を認めず,胃壁を損傷することなく切除された.切除標本内腔には白色混濁液が貯留しており,病理学的に胃重複症と診断された.本症例は一部胃壁との共有を認めたが胃重複症には完全に孤立した病変として存在する症例も報告されており,後腹膜嚢胞性病変の鑑別として念頭に置く必要がある.