日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療が奏効したリンパ節転移を伴った胃内分泌細胞癌の1例
三原 良明松下 公治多賀谷 信美
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2019 年 80 巻 2 号 p. 320-325

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抄録

症例は73歳,男性.貧血の原因精査で上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体部小彎側の腫瘍生検で腺癌と診断された.腹部CTにて胃体小彎に高度リンパ節転移を認めたため,術前化学療法の方針とした.S-1/Cisplatin(CDDP)を2コース施行後,著明なリンパ節縮小を認め,胃全摘術・胆嚢摘出術を施行した.術後病理の免疫染色の結果,胃内分泌細胞癌,ypT3(SS),ypN0,M0,ypStage II Aの診断となった.術後化学療法は,肺小細胞癌の治療に準じ,Irinotecan(CPT-11)/CDDPを2コース施行した.術後6カ月で腫瘍マーカーの上昇を認めたため,S-1内服を追加したところ基準値内まで低下し,現在再発所見は認めていない.

胃内分泌細胞癌は稀なため,治療方法は確立されておらず,予後不良である.今回われわれは,集学的治療が有効と思われる胃内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.

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