日本臨床外科学会雑誌
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症例
IgA血管炎による十二指腸・空腸多発潰瘍穿孔の1例
堀岡 宏平島田 有貴藤本 崇聡中村 賢二八谷 泰孝福山 時彦
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2019 年 80 巻 2 号 p. 326-332

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抄録

症例は57歳の女性.1週間持続する腹痛のため当院に搬送された.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚から水平脚にかけて輪状潰瘍を認め,生検では血管炎の所見であった.血液凝固第XIII因子の低下もあり,IgA血管炎による十二指腸潰瘍を疑ってステロイドの投与が開始された.入院12日目に腹痛が増強し,CT検査で腹腔内遊離ガスを認めたため当科に紹介された.十二指腸遠位から上部空腸の壁肥厚と腹水貯留を認め,十二指腸潰瘍穿孔および穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.十二指腸上行部と十二指腸空腸曲のすぐ肛門側の空腸の2箇所に穿孔を認めた.穿孔部を縫合閉鎖し,逆行性十二指腸ドレーンおよび順行性空腸ドレーンを留置した.術後縫合不全は認めなかったが,空腸穿孔部の狭窄を認めたため十二指腸空腸吻合術を施行した.術後119日目に軽快退院した.

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