2019 年 80 巻 2 号 p. 341-345
症例は64歳,女性.盲腸癌と上行結腸癌の二重癌に対し右半結腸切除術を施行した.pT4a(SE)N1M0 Stage IIIaと診断された.術後補助療法が施行され,無再発で経過観察されていたが,術後4年3カ月目に腹部骨盤腔CT検査で小腸腫瘤が指摘された.精査の結果,大腸癌小腸転移または小腸原発腫瘍が疑われ,小腸部分切除術を施行した.前回吻合部から210cm口側に,10×35mmの全周性の隆起性病変を認め,肉眼的には漿膜面への浸潤は見られなかった.病理組織学的にも大腸癌切除検体に類似した正常な粘膜の下に周囲との境界が明瞭な管状腺癌と粘液腺癌の混在した腫瘍を認めたため,大腸癌の血行性転移と診断した.患者の希望により術後補助化学療法は行わず,術後2年6カ月となる現在まで無再発生存中である.大腸癌の血行性小腸転移は稀であり,その治療や予後に関する報告は少ないため,文献的考察を加えて報告する.