日本臨床外科学会雑誌
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症例
大網に被覆されて存在した卵巣由来と考えられる成熟嚢胞性奇形腫の1例
福山 貴大平松 聖史雨宮 剛後藤 秀成関 崇新井 利幸
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2019 年 80 巻 2 号 p. 416-421

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抄録

症例は62歳の女性.13年前,他院で左卵巣の成熟嚢胞性奇形腫に対し左付属器摘出術を受けた.右下腹部痛を訴え近医を受診し,腹部US検査で腹腔内腫瘤を指摘され当院紹介となった.腹部US検査で右下腹部に径6cm大の類円形の嚢胞性病変を認めた.造影CT検査で同病変は脂肪織に囲まれ,境界明瞭な石灰化被膜構造からなり,内部に結節性病変を認めた.周囲臓器への浸潤は認めなかった.MRI検査では内容は主に脂肪成分であることを示した.以上から,大網に被覆され存在する成熟嚢胞性奇形腫と臨床診断し,切除術を施行した.病理組織検査では,嚢胞性被膜は石灰化を伴った線維性組織からなり,腫瘍性増殖像,核異型は認めなかった.被膜構造には一部に卵巣組織を認めた.内部の結節性成分は毛髪や骨組織を含んでいた.以上から,卵巣成熟嚢胞性奇形腫が大網へ播種し被覆され成長したと考えられた.術後経過は良好で,術後第4病日に軽快退院した.

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© 2019 日本臨床外科学会
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