日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡下に切除した中部食道憩室(8.8×5cm)の1例
渡邊 勇人國崎 主税佐藤 涉佐藤 圭湯川 寛夫益田 宗孝
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2019 年 80 巻 3 号 p. 518-524

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抄録

症例は57歳,男性.数年前より夜間のむせこみが出現し,健診の胸部X線写真で食道憩室を疑われ,当院紹介となった.上部消化管内視鏡検査で切歯列35cm,胸部中部食道右壁に巨大食道憩室を認め,また憩室内にヨード不染を呈する0-IIc様病変を認め,生検にてsquamous intraepithelial neoplasiaであった.食道造影検査で同部位に88×50mm大の嚢状の造影剤貯留を認め,基部は22mmであった.CTでは憩室は心外膜,右肺下葉,肺静脈と接していた.症状があり,内腔に上皮内腫瘍の併存を認めたため,手術の方針となった.手術は腹臥位,胸腔鏡下にて施行した.憩室腹側と肺実質との癒着を剥離した後,内視鏡で内腔を確認しながら憩室を自動縫合器で縫合切離した.病理結果は真性食道憩室で,悪性像は認めなかった.巨大胸部中部食道は稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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