2019 年 80 巻 3 号 p. 525-532
症例は65歳,男性.食道胃接合部癌の診断で,食道亜全摘,胃全摘,胸壁前経路有茎空腸挙上,頸部食道空腸吻合,supercharge/drainage(左頸横動脈-第2空腸動脈吻合,第2空腸静脈-左上甲状腺静脈吻合)を施行した.術後7日目に肺炎を発症し,その翌日に胸壁皮下の空腸の膨隆,血液検査で炎症反応上昇,造影CTでの挙上空腸の壁肥厚と造影不良,周囲脂肪織濃度上昇を認めた.消化管内視鏡検査で挙上空腸に発赤,浮腫と多発びらんを認めた.3D-CT angiographyにて挙上空腸の辺縁動脈に閉塞を認めなかったことから,肺炎を契機とした挙上空腸の直動脈の攣縮による非閉塞性腸管虚血症(NOMI)と診断した.保存的治療により,術後13日目には腸管虚血は改善した.食道切除後の再建空腸にNOMIによる虚血性腸炎を合併することがあるが,早期に診断できれば保存的治療で改善することがある.