2019 年 80 巻 3 号 p. 513-517
Klinefelter症候群に併存したヘルニア嚢を有さないLarrey孔ヘルニアの症例に対し,腹腔鏡下修復術を行った.症例は36歳の男性,検診の胸部X線写真で胸部異常陰影を指摘され,当院受診.32歳の時に不妊精査の染色体検査でKlinefelter症候群の診断.胸腹部CTで,右の心臓横隔膜角に腹腔内から連続する微小な血管構造を含む脂肪織を認め,横隔膜ヘルニアと診断.腹腔鏡下に観察すると,肝鎌状間膜左側に約6×4cm大のヘルニア門があり,Larrey孔ヘルニアであった.肝鎌状間膜から連続する脂肪織を摘出し,ヘルニア門をComposix Mesh®で閉鎖し手術終了.約3週間後の胸部CTではヘルニアの再発は認めなかった.Klinefelter症候群に併存するヘルニア嚢を有さない非常に稀なLarrey孔ヘルニアの症例を経験したため報告する.