2019 年 80 巻 3 号 p. 533-538
症例は79歳,男性.4年前に胃穹窿部に発生した28×27×23mmのGIST(c-kit陽性,CD34陽性,低リスク群)に対し開腹胃局所切除が施行された.術後は外来にて経過観察となっていた.術後2年4カ月のCT画像にて,胃切除部位に近接した大網内に28×27×23mmの腫瘤が指摘された.GIST局所再発の疑いで開腹切除が施行され,fibromatosis(デスモイド腫瘍)の診断であった.
近年,gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)切除後の二次発がんの報告が散見されている.デスモイド腫瘍はGIST二次発がんの稀な例と考えられ,本邦では同様の報告はわずかに6例を認めるのみであった.最近の知見等,文献的な考察を加えてこれを報告する.