2019 年 80 巻 4 号 p. 652-657
乳腺管状癌は本邦では1%前後と比較的稀な高分化の浸潤癌で予後良好といわれている.今回,当院でpure typeの乳腺管状癌11例を経験し,それらの造影超音検査を含めた超音波所見および臨床病理学的所見を検討した.マンモグラフィでは11例中8例がC-3以上であった.超音波所見では全例が不整形低エコー腫瘤像として描出され,カラードプラで血流増加を認めた.エラストグラフィでは9例がES-3,4であった.5例に造影超音波検査を施行し,腫瘤はび漫性または不均一に染影され,2例は腫瘤像より広く染影された.臨床病理学的所見では,全例が腫瘤径10mm以下,核グレード1で,脈管侵襲も認めなかったが,リンパ節の微小転移を1例のみ認めた.ERは全例陽性,PgRは10例で陽性,HER2は全例陰性,Ki67は全例20%以下であり,従来の報告通り生物学的に悪性度の低い乳癌と考えられた.