2019 年 80 巻 5 号 p. 859-864
混合型食道裂孔ヘルニア術後再発に発症したMorgagni孔ヘルニアの1例を報告する.症例は76歳,女性.心窩部痛・嘔吐を主訴に来院し,単純CTで巨大食道裂孔ヘルニアを認めた.軸捻転を伴う混合型食道裂孔ヘルニアであり,待機的に腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術,Toupet噴門形成術を施行した.1年8カ月後に心窩部痛を主訴に受診し,CTで食道裂孔ヘルニア再発とMorgagni孔ヘルニアを認め,腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術と胸骨後ヘルニア修復術を施行した.ヘルニア門を縫合閉鎖し,メッシュで被覆した.食道裂孔は開大しており,縫合閉鎖した.Morgagni孔ヘルニアは横隔膜ヘルニアの中で稀な疾患で,本邦におけるMorgagni孔ヘルニアと食道裂孔ヘルニアの合併症例の報告は少ない.混合型食道裂孔ヘルニア術後再発に合併したMorgagni孔ヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.