2019 年 80 巻 5 号 p. 865-872
症例は67歳,男性.検診の上部消化管造影検査で胸部中部食道に隆起性病変を指摘され,上部消化管内視鏡検査で切歯28~30cmに正常粘膜に覆われた弾性軟の粘膜下腫瘍様病変を認めた.針生検で扁平上皮癌と診断し,食道癌 Mt cType0-Is cT1bN0M0 cStage Iの診断で食道亜全摘術(D2郭清)を行った.病理組織像で癌胞巣周囲にT細胞リンパ球主体のリンパ球浸潤および病変内に胚中心を伴ったB細胞リンパ球優位のリンパ濾胞の形成を認め,lymphoid stromaを伴った中分化型扁平上皮癌と診断した.粘膜下腫瘍様形態を呈する食道癌は組織学的には悪性度の高い特殊型が多いとされているが,本症例のように比較的予後良好とされるlymphoid stromaを伴った中分化型扁平上皮癌も稀に存在し,治療方針の決定に際して組織型や浸潤形式を診断・予測することが重要である.