2019 年 80 巻 5 号 p. 898-903
症例は76歳,男性.2週間前からの食思不振,嘔吐を主訴に近医を受診.CEA高値を指摘され当院紹介.腹部CTで胃前庭部背側を中心に11cmの腫瘍を認め,膵浸潤を疑う所見であった.同部の内視鏡所見では粘膜下主体の腫瘍で,生検では壊死のみであった.大腸内視鏡検査で直腸S状部癌も判明した.胃腫瘍は巨大で閉塞所見があり,まず胃腫瘍に対する切除を行う方針とした.胃腫瘍に対し膵頭十二指腸切除結腸合併切除を施行した.切除標本で大細胞型胃内分泌細胞癌pT3(SS),ly0,v1,pN0,stage II Aであった.胃手術後3カ月目に直腸S状部癌に対し前方切除術を施行した.中分化型管状腺癌,pT4a(SE),pN1(2/4),stage III aであった.S1による補助化学療法を施行.胃術後1年6カ月で単発の直腸癌肝転移を生じ切除した.胃内分泌細胞癌に同時性直腸癌を認めた症例は稀と考えられ報告する.