2019 年 80 巻 5 号 p. 921-925
症例は75歳,男性.2年前に前立腺癌に対してロボット支援前立腺全摘が施行されていた.今回,突然生じた右下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部造影CTを施行し,右外腸骨動脈による絞扼性腸閉塞と診断し,緊急開腹手術を施行した.術中所見では,前立腺癌手術時に郭清により露出した右外腸骨動脈と後腹膜との間の間隙に小腸が嵌頓していた.徒手整復は困難であり,拡張した壊死腸管の腸管内容物を吸引しながら解放し,腸管を虚脱させることで整復し,絞扼の原因となった右外腸骨動脈を損傷することなく小腸部分切除術を施行した.再発予防のために後腹膜を切開し,右外腸骨動脈を被覆し手術終了とした.術後経過良好であり,術後11日目に軽快退院した.外腸骨動脈による絞扼性腸閉塞の報告例は少ない.今回このような稀な疾患を経験したために,若干の文献的考察を交えながら報告する.