2019 年 80 巻 5 号 p. 913-920
症例は43歳,女性.精神発達遅滞で施設入所中.食欲不振,嘔吐を主訴に受診.CT検査で胃内に異物を認め入院.上部消化管内視鏡で胃内,十二指腸内に異物が確認できたがサイズが大きく摘出困難.最終的に十二指腸内の異物は自然排出されており,経過観察となった.その後,CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,緊急手術となった.小開腹で胃前壁を切開し胃内の異物を摘出.胃壁閉鎖後,腹腔内を観察したが明らかな異常は認めず.術中大腸内視鏡検査で回腸まで観察を行ったが,異常,異物は認めなかった.念のため,空腸起始部より20cm肛門側に切開を置き,内視鏡を用いて逆行性に十二指腸・胃内を観察すると,十二指腸水平脚に穿通部位を認めた.Kocherの授動後右側結腸を脱転すると,十二指腸水平脚と間膜の付着部位に穿孔部位が確認できた.穿孔部位を縫合閉鎖し,大網で被覆し,減圧十二指腸瘻を留置した.術後経過は概ね良好で退院となった.