2019 年 80 巻 5 号 p. 926-932
症例は73歳,男性.嘔気・嘔吐を主訴に近医を受診,イレウスの診断にて紹介となった.腹部造影CTで小腸壁の肥厚と周囲のリンパ節腫大,複数の肝転移を認めた.ダブルバルーン内視鏡検査ではTreitz靱帯を越えてすぐの空腸に2型の全周性病変を認め,開腹手術を施行した.Treitz靱帯から20cm肛門側の空腸に70mm大の腫瘍が存在し,腹腔内には多発する播種結節と肝転移を認めた.小腸部分切除術,肝・腹壁結節の生検を施行し,病理組織検査ではいずれもmucinous adenocarcinomaの診断であった.術後S-1 + CDDPによる化学療法を開始,半年後のCTでPRと判断,術後36カ月目のCTではCRと判断した.術後45カ月目からS-1単独で治療を継続し,その後も再発所見なく術後78カ月で化学療法は終了した.現在,術後10年を経過したが明らかな再発所見を認めていない.