2019 年 80 巻 5 号 p. 970-975
症例は64歳,女性.S状結腸癌術後のサーベイランスCTで肝S2領域に径10mm大のring enhancementを伴う腫瘍性病変を認め,転移性肝癌と判断し,腹腔鏡下肝S2部分切除術の方針とした.術中ICG蛍光法で腫瘍近傍に異なるICG蛍光部位を認め,診断的肝部分切除を追加で施行した.病理組織像ではGlisson鞘内の胆管内に径4mm大の腺癌の腫瘍栓を認め,S状結腸癌の転移と診断された.術後は合併症なく経過し,術後4日目に退院となった.
術中ICG蛍光法は原発巣のみならず,転移性肝癌に対しても腫瘍の同定に有効とされている一方,術前に認識できていない腫瘍が蛍光された場合,その意義については不明な点も多い.今回われわれは,術前検査では検出できなかった微小腫瘍栓を術中ICG蛍光法により切除しえた転移性肝癌の1例を経験したため,文献的考察を含めて報告する.