2019 年 80 巻 5 号 p. 964-969
症例は88歳,女性.腹痛を主訴に当院を受診し,汎発性腹膜炎による敗血症性ショックの診断で緊急手術を施行した.術中所見で胆嚢穿孔と診断し,胆嚢摘出術および腹腔ドレナージ術を施行した.術前のCTで肝右葉肝門部に認めていた嚢胞が術後徐々に増大し,末梢胆管の拡張を伴っていたが,症状なく経過観察していた.術後61日目に突然の悪寒戦慄を伴う発熱が出現した.CTで胆管炎および感染性肝嚢胞と診断し,同日超音波誘導下に経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行した.白色膿性排液35mlを吸引し,血液培養および嚢胞内容液から大腸菌が検出されたことから感染源と判断した.抗菌薬投与およびドレナージによって症状改善し,ドレナージ38日目にドレーンを抜去した.その後,嚢胞の再増大は認めていない.肝嚢胞は無症状で経過することがほとんどであるが,増大傾向にある場合は肝嚢胞の感染を生じる可能性を念頭に置く必要があると考えられた.