2019 年 80 巻 5 号 p. 995-1000
症例は68歳,男性.就寝中に突然の左側腹部痛を自覚し,当院救急外来へ搬送された.受診時,腹部は膨満しており心窩部に圧痛を認めたが,体表面に明らかな外傷を疑う所見は認めなかった.腹部造影CTを施行し,脾臓周囲を中心に高吸収の液体貯留を認めたため,非外傷性脾破裂の診断で緊急開腹手術を施行した.腹腔内には大量の血腫を認め,脾臓は被膜が破綻していた.脾臓の実質からの出血が持続していたため,脾臓摘出術を施行した.摘出した脾臓病理および骨髄検査,末梢血血液検査,尿検査から多発性骨髄腫の診断に至った.悪性血液疾患による非外傷性脾破裂の報告例は少なく,また多発性骨髄腫による脾破裂の国内での報告文献は確認できなかった.若干の文献的考察を加え,報告する.