日本臨床外科学会雑誌
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症例
小児期に出現した不完全型Carney's triadの1例
橋本 至大島 貴佐藤 勉湯川 寛夫利野 靖江中 牧子益田 宗孝
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2018 年 79 巻 4 号 p. 749-756

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抄録

症例は18歳の女性で,9歳時に黒色便および貧血の精査目的に施行した上部消化管内視鏡検査にて,多発する胃粘膜下腫瘍が認められた.胃部分切除術が施行され,病理組織学的検査にて胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.その後,10歳時に胃GISTの再発,13歳時に胃GISTの多発肝転移および多発十二指腸GISTが認められ,いずれも外科切除が施行されたが,年齢を考慮し術後化学療法は施行せずフォローしていた.今回,再び多発する胃GISTと右肺下葉に肺軟骨種の出現が認められたため,不完全型Carney's triadと診断された.胃部分切除を施行し,術後補助化学療法としてimatinibの投与を開始した.術後1年を経過した現在,再発を認めていない.今回,稀な小児期に出現した不完全型Carney's triadの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2018 日本臨床外科学会
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