2019 年 80 巻 6 号 p. 1035-1040
目的:術後悪心嘔吐は不快で術後管理にも影響を及ぼす合併症である.今回,当科の現行の対策下での乳癌患者における術後悪心嘔吐の発症頻度およびリスク因子について検討した.方法:乳癌手術を施行した175例を対象とした.Apfel's scoreによるリスク評価を術前に行い,2点以上の症例を高リスクとし麻酔導入後に予防薬剤の投与を行った.予防投与が行われた81人を介入あり群,予防投与のない94人を介入なし群とし,両群での発症率やリスク因子を検討した.結果:術後悪心嘔吐の発症率は介入なし群27.7%(95%CI:18.6-36.7%)に対し,介入あり群では9.9% (95%CI:3.4-16.4%)であり,相対リスク減少は64%(95%CI:25-83%)であった.多変量解析では予防投与ありと高リスクが発症に有意に関連した.結語:術前のリスク評価に基づく術後悪心嘔吐予防対策は有効である.