2019 年 80 巻 6 号 p. 1079-1083
症例は76歳,女性.68歳時に右乳癌で胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織検査では,硬癌,pT2N1M0 Stage II B,ER(+),PgR(+),HER2(0)で,術後ホルモン療法を5年間行った.術後8年目に腫瘍マーカー上昇とCT検査で右副腎腫瘍を認めた.確定診断と治療を兼ねて腹腔鏡下右副腎摘出術を行った.病理組織検査は,ER(-),PgR(-),HER2(3+)と原発巣とは異なるタイプであったが,GCDFP-15陽性,mammaglobin陽性で乳癌副腎転移と診断された.副腎摘出後2年経過するが,無再発生存中である.乳癌副腎転移は終末期に全身転移の一部としてみられることが多く,孤立性転移は非常にまれである.生物学的特性別に治療の異なる乳癌では,このような症例に対し外科的切除を行うことで,病理学的確定診断が得られ,生物学的特性の再評価を行うことで的確な治療が行える.