2019 年 80 巻 6 号 p. 1168-1176
症例は70歳,男性.2週間続く発熱に腹痛を伴い当院に入院した.11日間の抗菌薬投与をしたが,発熱と炎症反応高値が持続し,結腸壊死を認めたため緊急手術を行った.下行結腸中ほどからS状結腸に断続的な虚血性変化を認めたため,下行結腸近位側で切離し人工肛門を造設した.病理組織像では中・小型血管にフィブリノイド壊死を認め,結節性多発動脈炎に伴う虚血性腸管壊死と診断した.術後10日目にドレーン排液が便汁様となり,再開腹すると空腸から人工肛門口側まで断続的な腸管壊死を認め,全小腸および全結腸切除を施行した.組織所見から血管炎の増悪と診断し,集学的治療を行ったが十二指腸断端瘻や敗血症を繰り返し,再手術後110日に永眠した.
PANの消化管病変に特異的な所見はないが,致死率の高い疾患であり,血管炎も鑑別診断に挙げ,早期の内科的治療を開始するとともに,治療抵抗例には手術の介入が必要である.