2019 年 80 巻 6 号 p. 1162-1167
症例は72歳の男性で,右下腹部痛を主訴に受診した.腹部CT検査で回盲部リンパ節腫大を認めたが,回盲部リンパ節の腫大以外に,原発巣と考えられる病変は認められなかった.その後,経時的にリンパ節は増大傾向であり,PET-CT検査でも同部位に悪性を疑う所見を認めたため,回盲部リンパ節転移を伴う原発不明癌の診断で,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見ではリンパ節への粘液癌を伴う転移性腺癌であり,腸管内には病変は認められなかった.免疫染色では,原発巣として消化管,肝胆膵系,尿膜管などが疑われ,追加検査を施行するも異常は認められなかった.術後補助化学療法は施行せず,経過観察をする方針となった.術前から上昇を認めていたp53抗体は術後に速やかに正常化した.術後3年経過しているが,明らかな再発所見は認められていない.手術単独で長期生存を得ている症例は稀であり,自験例も含めた症例の蓄積が必要であると考えられた.