2019 年 80 巻 8 号 p. 1481-1486
症例は71歳,男性.食思不振を主訴に前医を受診し,食道胃接合部癌と診断された.精査中に全身に多発する緊満性水疱,びらんが出現し,精査目的に当院へ紹介.皮膚生検で水疱性類天疱瘡と診断され,蛋白漏出に伴う低蛋白血症も伴っていた.臨床経過から悪性腫瘍のデルマドロームとして水疱性類天疱瘡の発症が疑われた.皮膚症状のコントロール目的にステロイド投与および栄養介入後,下部食道-噴門側胃切除術を施行した.病理診断は乳頭腺癌,pStage III Aであった.現在,術後約4カ月であるが,再発は認めていない.また,皮膚症状や低蛋白血症は改善傾向である.水疱性類天疱瘡と悪性腫瘍の合併はしばしば報告されているが,その関連に一定の見解が得られていない.本症例はステロイドへの反応も良好であったが,腫瘍切除後に皮膚症状はさらに改善した.強い関連が示唆された症例であり,臨床経過を治療戦略とともに考察する.