2019 年 80 巻 9 号 p. 1623-1628
症例は65歳,男性.アルコール性肝硬変による難治性腹水のため内科で加療中,労作時の呼吸困難を訴えた.画像診断と胸腔穿刺で右大量胸水貯留を指摘された.利尿薬投与,胸腔ドレナージによる治療では胸水貯留が十分に改善されない一方,胸水排液後に腹水が減少する所見から,横隔膜交通症が疑われ外科へ転科となった.経過から内科的治療法では大量胸水のコントロールは困難と判断し,十分なinformed consentを行った上で胸腔鏡下手術を行った.全身麻酔下に胸腔内を観察すると,右横隔膜の腱中心付近に2箇所の瘻孔を確認した.瘻孔2箇所を一括して自動縫合器で切除し,ポリグリコール酸(PGA)シートで被覆した.術後経過は良好で,脳出血で死亡するまでの1年8カ月,胸水再発を認めなかった.今回,横隔膜交通症を診断して胸腔鏡手術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.