症例は29歳,女性.3年前から食後に腹痛を頻回に自覚していた.来院2日前から腹痛・嘔気を認め,当院を受診した.症状が軽減したため帰宅したが,症状悪化のため同日再度受診となった.CTにて胃が著明に拡張しており,その大半が左胸腔内に脱出していた.入院し治療を開始したが,数時間後にショック症状を呈したために緊急手術となった.左横隔膜に手拳大の欠損があり,そこから胃の大半が左胸腔内に脱出して,腹腔内および胸腔内は胃の内容物にて汚染されていた.脱出した胃を腹腔内に戻すと,胃体上部前壁に虚血による穿孔を認めた.胸腔内と腹腔内を洗浄して,胃の虚血部分を切除して縫合閉鎖した.減圧のために胃瘻を作成し,ヘルニア門は縫合閉鎖した.横隔膜の欠損部は解剖学的にBochdalek孔ヘルニアと診断した.今回われわれは,成人発症のBochdalek孔ヘルニアに胃穿孔を伴った症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.