2019 年 80 巻 9 号 p. 1744-1747
大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)は左心室に慢性的圧負荷をもたらし,心不全などの症状発症後には急激に生存率が低下する.そのため非心臓手術時にASが認められる場合,周術期死亡の大きなリスクになる.今回,重症ASに対する緊急バルーン大動脈弁形成術(balloon aortic valvuloplasty:BAV)後に胆嚢捻転に対して開腹胆嚢摘出術を施行した1例を報告する.
症例は93歳の女性,最大圧較差154mmHgの重症ASで経カテーテル大動脈弁留置術の適応であったが,患者の希望で保存的加療を行っていた.今回,慢性心不全の急性増悪に対する薬物治療の入院中に腹痛が出現し,精査の結果,胆嚢捻転と診断され紹介となった.ASによる周術期死亡を回避すべく,全身麻酔導入後循環器内科医によりBAVを施行し,その後,開腹胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で術後26日に退院となった.